400近い数の島々から構成される常夏の島国パラオは、国土の87%を森林に覆われた屋久島よりも小さな比較的新しい国。治安が良く最低限のインフラが整っているパラオは、日本語が通じる世界でも珍しい場所でもあります。
また、パラオ周辺海域の80%は海洋保護区に指定されており、その美しい海では様々な海洋生物に出会うことが可能。大型の回遊魚やマンタが悠々と泳ぐパラオの海はスキューバダイビングの聖地として世界的にも有名です。
・どこに行くか悩んでるから観光地の写真が見たい。
・行くかもしれないから注意点とかも教えて欲しい。
と感じている方に向けて、世界50ヵ国を旅して英語がペラペラになったワンダラーが、世界有数の美しい海に囲まれたパラオの観光地を一挙にご紹介します。
この記事を読んで、次の旅行先をバシッとパラオに決めちゃってください!
パラオの観光案内
日本からパラオにはグアム、台北(台湾)、ソウル(韓国)のどこかで飛行機を乗り継いで向かうのが一般的です。そしてパラオの空港からダウンタウンのあるコロールまでは約9km(車で約15分)の距離であり、ホテルかツアーの送迎サービス、もしくはレンタカーで市内まで向かいます。
パラオには400近い数の島々がありますが、その殆どは上陸不可能な無人島であり、上陸可能な有人島は空港のあるバベルダオブ島を含めても9つのみ。観光地同士も近いのでスキューバダイビングをしない場合は3日程度の滞在でも十分に休暇を満喫できるでしょう。
ですので休みを取る目安としては、「飛行機での移動時間2日+観光に使う時間3日+スキューバダイビング○○日」という風に考えると良いかと思います。
ロックアイランド(パラオの観光地)
ロックアイランド(上の写真)は、パラオのほぼ中央に位置する300~400の島々で構成される島群であり、2012年に「ロックアイランド群と南ラグーン」という名称でユネスコの世界複合遺産に登録された場所。
世界複合遺産とは、文化的遺産価値と自然的遺産価値の両方が同時に認められている世界でも数の少ない世界遺産のことですね。この後ご紹介するジェリーフィッシュレイクやミルキーウェイといった、パラオの見所の多くはこのロックアイランド内に点在しています。
ロックアイランドの文化的遺産価値
マッシュルーム状の緑の島々が雄大な海に点在する姿がなんとも美しいロックアイランドですが、実はその殆どが考古学的価値の高い上陸不可能な無人島です。
発掘調査の結果、ロックアイランドには太古の昔(約3,000年ほど前)から人が住んでいた形跡が残されており、巨大な石のお金(上の写真)や石造りの集落、岩絵、1,000年以上に亘って埋葬場所に使われていた洞窟などが発見されました。
また、数千年の歴史を持つ村落が放棄された理由としては、人口の増加に伴う乱獲によって水産資源が減少したことや、降水量の減少による水不足が原因だと考えられています。
ロックアイランドの自然的遺産価値①
ロックアイランドはマリンレイクと呼ばれる汽水湖の一種を世界で最も多く観察できる場所であり、世界に約200ヵ所あるとされるマリンレイクの内、52ヵ所はロックアイランド内にあります。
また、ロックアイランドというごく限られた範囲に密集したマリンレイクは透明度が高いことでも知られており、ギンガハゼ、テッポウウオ、ニシキテグリ、カニハゼ、マンジュウイシモチなどの珍しい小魚を観察することが可能。湖であることから外海と異なり波がなく、泳ぎに自信がない方でも安心してシュノーケリングにチャレンジできます。
ロックアイランドの自然的遺産価値②
世界遺産の名称が「ロックアイランド群と南ラグーン」であることからも分かるように、世界遺産の登録範囲にはラグーンも含まれています。多種多様な海洋生物が生息するパラオのラグーンは、スキューバダイビングの聖地とも称される場所であり、有名なダイビングポイントが無数に存在します。
中でも特筆すべきは、ガムリス島にほど近いブルー・コーナーと呼ばれるダイビングポイント。ブルー・コーナーは魚類の数・種類・遭遇率といった様々な点で世界的に優れているとされており、ここではギンガメアジやバラクーダの大群、絶滅危惧種のメガネモチノウオや様々な種類のサメに出会うことが可能です。
6歳以上の方がロックアイランドに立ち入る(オプショナルツアーやダイビングツアーに参加する)には、コロール州政府が発行する許可証(10日間有効)が必要ですので、ツアー会社を通して購入し忘れずに携帯しましょう。尚、許可証には以下の2種類がありますのでご注意ください
- ロックアイランド許可証(50USドル):ロックアイランドにのみ立ち入ることが可能。
- ジェリーフィッシュレイク許可証(100USドル):ロックアイランドとジェリーフィッシュレイクの両方に立ち入ることが可能。
ロックアイランドには観光地が多数存在しますので、記事を分割しております。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
ロックアイランドはパラオ共和国のほぼ中央、コロール島とペリリュー島の間に位置する200~300の島々で構成される島群であり、2012年に「ロックアイランド群と南ラグーン」という名称でユネスコの世界複合遺産に登録された場所。世界複合遺[…]
バベルダオブ島(パラオの観光地)
バベルダオブ島は国土の約90%を占めるパラオ最大の島であり、唯一の国際空港(ロマン・トゥメトゥール国際空港)のあるパラオの玄関口。コロールとは橋で繋がっており、車での行き来が可能。島を一周する非常に分かり易い道路が通っているので、初めてのレンタカーでも迷うことはないでしょう。
パラオ観光のメインは先にご紹介したロックアイランドに集中していますが、バベルダオブ島にも観光地はあるので簡単にご紹介していきます。
因みにご紹介するスポットは紹介されている順番に周るのが最も効率的であり、1日で全て回収できます。1つ1つの魅力は正直ロックアイランドの観光地より劣りますが、まとめて観光できるのは嬉しいポイントですよね。
コロール・バベルダオブ橋
コロール・バベルダオブ橋(通称:KBブリッジ)は、国際空港のあるバベルダオブ島と観光拠点のコロール島を結ぶ唯一の道であり、海峡(幅約250m、水深約30m)に架けられた全長413mのコンクリート製の橋。
初代KBブリッジは1977年に韓国の会社によって造られたのですが、1996年9月28日に突如として中央から真っ二つに折れてしまいました。最悪なことに、この橋には電気や水道などのライフラインが通っていた為、首都機能は麻痺して旧首都であるコロールの街は闇に包まれます(通称:暗黒の9月事件)。
大統領は国家非常事態宣言を発令しましたが、パラオには橋を再建するだけの資金がありません。そこで1997年に日本政府が無償で橋の再建に乗り出し、依頼された鹿島建設が2代目KBブリッジを2002年に完成させました。
50年は壊れないと日本に保証されたこの橋の別名は「日本・パラオ友好の橋」であり、橋のふもとには日本とパラオの国旗が描かれています。KBブリッジは空港からコロール市内に向かう際にも通過する橋なので、歴史を思い出しながら渡ってくださいね。
旧日本海軍通信基地跡
旧日本海軍通信基地跡は、先に紹介したKBブリッジから約6km(車で8分)の場所にある、第二次世界大戦で使用されていた日本海軍の通信基地跡。入口付近にあるチケットオフィスで10USドルを支払い周囲と建物内部を散策します。
建物の周囲にはバベルダオブ島内に残されていた日本軍の兵器が展示されており、特二式内火艇と呼ばれる水陸両用の戦車(上の写真)や、キャタピラ付きの戦車(九五式十三頓牽引車)、大砲のような機関銃(九六式二十五粍高角機銃)、巨大な弾丸(薬莢)などを見ることができます。
旧日本海軍通信基地の建物(横幅約40m、奥行き約30m)自体は、一言で言い表すなら半壊した廃墟。現在でも一部倉庫として利用されていますが、内部に立ち入って散策が可能です。
空襲と爆撃で破壊された建物の内部は部屋割りすら分からないような状態ですが、「いったい中で何があったんだ」と言いたくなるほど至る所に弾痕が残されています。物置のように使われた姿に廃墟マニアはガッカリするかもしれませんが、弾痕に触るのは中々面白い経験ですよ。
国会議事堂
国会議事堂(上の写真)は、国際空港のあるバベルダオブ島の東海岸に位置する首都マルキョクに鎮座する、ハワイの建築事務所が設計したパラオの中で一番立派な建物(2001年建造)。
内部には色々な写真が飾られており、中に入って観光することが可能。また、国会議事堂の両側には裁判所と大統領府が併設されており、写真では切れていますが横に長い造りをしています。
パラオ政府はコロールの人口過密の解消と経済機能を分散させることを目的に、アメリカから200万USドル(当時のレートで約2.2億円)の資金援助を受け、2006年に首都をコロールからマルキョクに移転しました。民主主義と人々の自由をテーマにローマの建築様式も取り込んだ外観は、アメリカの国会議事堂と似たデザインになっています。
国会議事堂のあるマルキョクはコロールに比べ非常に小さな町であり、人口も300~400人程度です。町にはカフェや売店がありますが、国会議事堂周辺には草原以外に何もなく、向かうには車(レンタカーかツアーへの参加)が必要です。
旧日本軍灯台跡
旧日本軍灯台跡は、国際空港のあるバベルダオブ島の最北端(コロールから約63km、車で約1時間10分)の場所にある今は使われていない灯台跡。第二次世界大戦のときに日本海軍が監視のために建設した灯台の跡地です。
入口付近にある一見民家のようなチケットオフィスで5USドルを支払い、銃の弾痕や爆撃の跡が無数に残る階段を上がった先に旧日本軍灯台跡はあります。灯台跡と呼ばれる理由は、灯台の基礎部分(台座部分)しか残されていないから。因みにパラオ語では「跡」が省かれて「TODAI(トーダイ)」と呼ばれています。
「台座しか残っていないのに行く意味はあるのか?」と言われそうですが、この場所が人気の理由は灯台跡の近くにある展望台(上の写真)。高知の少ないパラオにおいて、高いところからエメラルドグリーンの海を一望できる場所は貴重なんですよ。
旧日本軍灯台跡の周辺には、海軍の基地跡や日本海軍の将校が住んでいた住居や病院の基礎も残されているので、熱中所に気を付けながら散策してみてください。※車で5分の場所にはカフェ(Ollei Jive Café)があり、海を見ながら一息つけますよ。
ストーンモノリス
ストーンモノリス(上の写真)は、先にご紹介した旧日本軍灯台跡から約4km(車で約10分)の場所にある、1~2mの石柱が多数乱立する謎の遺跡。パラオ語には元々文字を伴う言語ではなく、絵で情報を伝えていました。その為、ストーンモノリスに関する文献は発見されておらず、誰が何のために建てたのかは未だに不明。
唯一判明していることは、石柱は玄武岩で造られているということのみ。しかし玄武岩はパラオでは採掘できない石なので、石柱は海を越えて遠くから運ばれてきたということになります。謎が謎を呼ぶとはこのことですね(笑)
一部のストーンフェイスと呼ばれる石柱は顔の形をしており、昔の首長が埋葬されたとされる茂みに顔を向けています。このことから現地では、ストーンモノリスは死者のための場所ではないかと考えられています。
ストーンモノリスは、入口付近にあるチケットオフィスで5USドルを支払い6~7分ほど徒歩で坂を上った丘の上にあります。こちらからもパラオの美しい海を一望することができますので、遺跡に興味がない方でも楽しめると思いますよ。
ガラスマオの滝
ガラスマオの滝(上の写真)は、国際空港のあるバベルダオブ島の北部に位置するパラオ最大の滝(滝幅約37m/落差30m)。人気の理由は滝に近付けるからであり、滝壺に入って滝に打たれてみたり、滝の裏側を歩いてみたりすることが可能です。
コロール島から車で片道約1時間の場所にあるチケットオフィスで入場料10USドルを支払ってから、アップダウンの激しい未舗装の道(ぬかるんだ場所や滑り易い沢が行く手を阻むジャングル)を片道約40分かけてトレッキングした先に滝はあります。
所々に看板や目印があるので道に迷う心配はないかと思いますが、足場が悪いのでビーチサンダルで向かうのはおすすめしません。道中、食虫植物のウツボカズラや旧日本軍が設置したトロッコの廃線などがありますので楽しみながら滝を目指してください。
ガラスマオの滝周辺にはレストランがないので、個人で向かう場合には飲食物を用意しておきましょう。また、滝壺や道中の川で遊びたい方は水着や防水ケースなども忘れずに持参しましょう。
カヤンゲル環礁(パラオの観光地)
環礁とは、上のマップのように環状に分布するサンゴ礁であり、内側は浅く外側は外洋で深い特徴があります。そしてカヤンゲル環礁とは、先にご紹介した国際空港のあるバベルダオブ島から更に船で1時間ほど北上した場所にあるパラオのカヤンゲル州にある環礁のこと。
カヤンゲル環礁は4つの島々(1つの有人島と3つの無人島)と遠浅な海で構成されており、最も大きな島はカヤンゲル島と呼ばれる有人島(最長部分は南北約2.6km、東西約700m)。島内には集落、小学校、図書館、公民館などがあり、140人ほどの人が暮らしていますが、ホテルやレストランなどの観光客向けの施設はありません。
カヤンゲル環礁は、訪れる人が少ないことから「幻の秘境」とも呼ばれる場所ですが、観光客でもコロールから出る定期船かツアーで訪れることが可能。ツアーで向かう場合は、国際空港のあるバベルダオブ島の北端までツアー会社が手配するバスで移動し、そこからスピードボートに乗り込みます。
ツアーにもよりますが、スピードボートでカヤンゲル環礁に向かう道中もイルカウォッチング、フィッシング、シュノーケリングとイベントは盛り沢山ですよ。到着後はバーベキューやシュノーケリングをして、ロングビーチで遊んでから町の散策をするのが一般的ですね。
ロングビーチ
ロングビーチ(上の写真)は、カヤンゲル環礁のゲルベラス島にある干潮時にのみ姿を現す細く長い砂浜であり、パラオで最も美しいと言われている場所。干潮の時間は毎日少しずつ変わるため、ロングビーチが現れる時間も日々変化します。
日によっては出現しないこともあるのですが、砂浜の上を多少の水が覆っていても絶景であることには変わりないので安心してください。基本的には同行しているツアーガイドが潮の満ち引きを確認して、最良のタイミングで訪問できるように動いてくれます。
ロングビーチは2つある
パラオ国内にはロングビーチと呼ばれる干潮時にのみ姿を現す砂浜が「カヤンゲル環礁のゲルベラス島(写真1枚目)」と「ロックアイランドのオモカン島(写真2枚目)」の2ヵ所ありますが、カヤンゲル環礁のロングビーチの方が圧倒的に人が少なく、出現している時間も歩ける距離も長い特徴があります。
しかし、カヤンゲル環礁のロングビーチに向かう船は外洋を渡るので、海の状況によりツアーがキャンセルになる可能性があります(特に雨期である5~10月)。また航行距離が長いので、ロックアイランドのロングビーチと比較すると割高です。
割高と言っても5千円程度の差ですが、カヤンゲル環礁自体が秘境なので時間とお金がある方向けですね。行かれる方はサンダル、水着、タオル、帽子、上着、酔い止め、日焼け止めなどを忘れずに持参しましょう。
紫外線に関する注意点
パラオの紫外線は非常に強力(日本の6~7倍)ですが、パラオ政府は自国周辺の海域の80%を「海洋保護区」に指定しており、サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止め製品の販売及び持ち込みを禁止しています。そしてサンゴ礁に有害と認定された成分とは
この情報は在パラオ日本国大使館のウェブページにも記載があり、無視できるものではありません。しかし日本で手に入る日焼け止め製品の大半には、有害成分に認定されたフェノキシエタノールが含まれています。
筆者も記事を書くにあたり色々な日焼け止めの成分を確認しましたが、パラオに持って行くことが可能且つ強力なもの(SPF50+ PA++++)は欲張りサンスクリーンαしか発見できませんでした。
因みに上のリンク(青文字の部分)から製品詳細に進むとアマゾン・楽天・ヤフーショッピングよりも安く買えますよ。
パラオの観光地まとめ
今回はパラオにある観光地をご紹介しましたが、如何でしたか?パラオと言えばロックアイランドを想像する方が多いかと思いますが、陸の観光地や環礁も捨てがたいですよね。
筆者は世界中の島々に足を運んでいますが、魚の種類と多さで言えばパラオには光るものを感じます。そして何より海の色。あの独特な絵の具のような水色は、大量のサンゴと島の主成分である石灰がなせる技。是非一度足を運んで直に目で確認してみてください。
「パラオに興味が湧いたから治安や観光シーズンが知りたい」という方には、こちらの記事がおすすめです
海外旅行を検討中に知っておくべき情報は多岐に渡りますが、必要な情報を必要な分だけ選んで調べるのは中々に骨が折れますよね。初めてのパラオ旅行であれば尚の事バッチリ計画するのが難しい。しかし、その面倒な作業は当サイト(ワンダラーズ)で省けます。[…]